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住宅情報化/情報配線
− 3−1.情報分電盤 −
テレビ/CATV/BS/CS/インターネット/家庭内LANなど、家庭に
出入りするあらゆるメディアをいかに効率よく各部屋の情報コンセントへ分配
できるかが住宅情報化の重要なポイントになります。
そのためには家庭内の情報配線を一ヵ所に集め、そこでメディアコントロール
を集中的に行うと柔軟な対応ができることがわかるでしょう。
これを業界では「情報分電盤」といいます。昔からお馴染みの電気ブレーカー
の情報版だと考えてもらえればわかりやすいと思います。
この章では特に重要な情報分電盤について詳しく解説します。
●メリット
情報分電盤には多くのメリットがあります。
情報分電盤のスペースから情報コンセント間には住宅情報化の概念のもと、規
定のケーブルを設置されることでしょう。例えば後からある部屋に電話を増設
したいときや、後からADSLモデムを導入する際にも、その前もって各部屋
へ配置しておいたケーブルを使って利用すれば端子を付けるだけで容易にメデ
ィア追加が可能になります。
おおがかりな配線工事は不要でほとんどのメディア増設に対応できるという特
徴があります。
さらにブロードバンドルーターなどを利用し、家庭内LANを構築すれば、全
ての部屋でインターネット接続応用やメンテナンスも容易にできます。
家庭内の情報が集中管理される高度な情報スペース「情報分電盤」
普段はケーブルを壁の中に収納しておき、将来必要とする部屋が増えた場合に
部屋側とこの情報分電盤側のケーブルを取り出して端子の加工を行う手法もあ
ります。初期投資を安く抑えられ、将来設計も完璧なベストな手法です。
上の写真の場合、家庭内の全10数本の情報配線のうち、利用する3部屋を情
報分電盤上で端子化した場合です。残りの配線は壁の中に待機しています。
後から数多いケーブルを判別しやすいよう、ケーブルには住宅設計書の部屋の
名称が書かれたテープを貼り付けておいてもらいましょう。ひとつの部屋でも
複数のケーブルを確保した場合は通し番号をつけておいてもらいましょう。
●情報分電盤の3大要素
主に「ケーブル」「端子」「機器」の3つの重要ファクターがあります。
【ケーブル】
種類によっては将来的にも対応できるものと対応できないものがあります。つ
まり高品質でマルチメディアに対応できるものでなければなりません。
実際にこの数年以内に変化を遂げたメディアを考えてみますと、電話線を使っ
たインターネットサービス「ADSL」が開始されています。また地上波デジ
タルやBS放送もデジタル化し、一概に目まぐるしく既存のメディアも進化し
ています。
いずれも既存の配線が使えるサービスですが、それでも配線品質が悪ければノ
イズなどが原因で通信速度が落ちたり、テレビも画面が乱れることもあります。
例えばADSLの通信速度が想定より低い結果となり残念でくやしい思いを経
験した方も多いことでしょう。ひとつのメディアが進化していることを意識し
て準備しておくのが大切なのです。
【端子】
最近の情報分電盤の製品では、直接機器に配線して、情報分電盤内では端子を
使わないパターンもあります。端子の場合はパッチパネル型といい、後から配
線を施主が思うままに変更したり、各種機器を増設することも簡単です。
メリットはそれぞれですが、製品版を購入した場合は直接配線となるため電気
工事屋さんに頼まなくてはならなくなることがあったり、新しいメディアが出
たときにその専用の機器が分電盤の中に入りきらないということもあります。
端子のパッチパネルで作る場合は家が完成するときに使いたいメディアの端子
の中から高品質なものを選びます。将来メディアを変更するときにはそのとき
に新しいものへ付け替えて対応します。
【機器】
機器はADSLモデムやCATVインターネットのケーブルモデムなど、通信
会社から借り受けるものから、全部屋でインターネット接続するためのブロー
ドバンドルーター、TVやCATV・BS/CSアンテナの信号を各部屋へ分
岐する分配器などが設置されます。
ここで重要なことは、情報分電盤は今まで配線を集中させるスペースという位
置付けでしたが、21世紀になりブロードバンド時代が到来した今、あらゆる
機器を設置する「情報機器スペース」になりつつあります。
そのため多くの機器が設置できるスペースも必須条件になります。
●種類について
種類としては機器全てを納めてしまう「化粧パネルタイプ」でスマートにさせ
るタイプと、タッチパネルでケーブルを出し、タッチパネル付近に専用に設け
た台に機器をきれいに並べてケーブルを接続し、ブロードバンドを意識させた
目に見えるアクティブな情報分電スペースを作ることもできます。
1.化粧パネルタイプ
カバータイプの場合は外観もすっきりします。一方でフタを閉めることで内容
量に制限があるため、ケーブルモデムやISDNなどの大きめの機器が収まり
きれず、はみ出たために逆に外観を損なうこともあります。また機器の発熱に
よる熱のこもりなどで問題が後から発生して後悔される方もいるようです。
内部スペースが小さく、機器への接続は端子を介さずケーブルが直接機器へ接
続されてしまうため、後から機器の変更などを行う場合には、工事免許所有者
や工事店に依頼しなければならない場合があります。
化粧パネルタイプを希望される場合は、外観はすっきりさせることができます
が、内容量の余裕を持たせることに注意してください。
2.コンセントパネルタイプ
一般的なコンセントパネル化をメインに採用した情報分電盤。パッチパネルと
もいいます。
パネル化しておくことのメリットとしては、端子で配線が結線されているので、
後から施主が思うようにパッチ配線すれば各種モデムやルーターを変更・設置
するときも(市販のケーブルでパチッとつなぐだけで)自分で簡単に変更でき
メンテナンスも容易にできます。
テレビ配線はそれほどつなぎかえをすることはないため、情報分電盤内で直接
ブースターや分配器に配線してもよいでしょう。特に家庭内LANやISDN、
電話の端子をコンセントパネル化しておくと便利です。
パネル式は適度な長さのケーブルで各機器に接続すれば、逆にハイテク住宅を
意識しながらもすっきりとした印象を見受けることができる、自慢のできる情
報分電盤に仕上がります。
●位置の決定
情報分電盤の設置位置は一般的には目立たないことから、階段下収納や納戸内
の上側にスペースを確保して設置する方がほとんどです。
パネルタイプの場合でも、デッドスペース(収納スペースや納戸などの天井部
付近)を利用し、さらにそこに機器専用台を設ければ、外観を気にすることな
く、大きな機器も設置することができます。将来的に機器が増えてもほとんど
問題は発生しません。
もちろん情報機器が集中させたい方は部屋に設置してもかまいませんが、家の
中心に設置することがベストです。
●設置機器の種類
ISDNを導入する方はDSUやTA、テレビ系ではアンテナからの信号やC
ATV/BSを各部屋へ分岐させる分配器、さらに多くの部屋に分配するには、
テレビ信号などのレベル低下を防止するためブースターや混合器といった機器
が必要になります。最近ではこれらの機器をセットにした化粧カバータイプの
情報分電盤のセット製品が10万円程度で用意されています。
☆(TVブースター)
TVブースターとは多くの部屋へ分配されることによるテレビやBSなどの信
号レベル低下を防止するための増幅(アンプ)機器です。
家全体のテレビ端子が多い場合には、目安として3〜5端子以上で必要になる
機器です。これはアンテナやCATV局の信号レベルなどによって異なるため、
工事店やCATV局に前もって問い合わせ、アドバイスや推奨機材などを紹介
してもらいましょう。
●発展への対応
最高の品質のケーブルを設置しておいた場合でもケーブルの入れ替えが発生す
るメディアもあります。例えば光ファイバーがそのひとつです。ケーブルの入
れ替えを容易に行うには「配管」があります。
配管を利用しないと判断した場合でも、最低限配管を設置するべき個所もあり
ます。それは情報分電盤と家の外壁に設置される引き込み口との間です。この
ときに特に光ファイバーを考慮すると、配管の曲げの度合い(Rまたはエッジ)
にも配慮する必要がありますので、電気工事店に前もって相談しましょう。
●点検口の利用
テレビ配線もCATVやアンテナ、BS/CSの各ケーブルと各部屋に送られ
るケーブルをトータルすると、十数本以上になることもあり、ブースターなど
の機器も入れると、情報分電盤のスペースがいっぱいになってしまいます。
電話・ISDN・ADSLなどは機器の設定や変更などがあるため、メンテナ
ンスが容易にできるように情報分電盤内に設置することが必要ですが、TV系
は設置してしまえばそれほどメンテナンスがいらないため、テレビメディアだ
けを最上階の天井裏や情報分電盤付近の上部に「点検口」と呼ばれる上部窓を
付けて、電話/情報系とテレビメディアを分けて設置する方法もあります。
詳細は、下の参考資料でご確認いただきたいと思います。
*** ワンポイント ***
各部屋へ送られる情報配線はなるべく均等なレベルを維持するため、家の中心
に情報分電盤を設置することが好ましいと思います。また各種情報機器が設置
されることからアース端子も用意しましょう。
Last updated; 2007.9.1
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